酔古堂剣掃 / 集綺・不平の氣を山禽に說く
胸中不平之氣,說倩山禽;世上叵測之心,藏之煙柳。
新字:胸中不平之気,説倩山禽;世上叵測之心,蔵之煙柳。
書き下し
胸中不平の氣は、說くに山禽を倩ひ、 世上叵測の心は、之を煙柳に藏す。
現代語訳
胸の中の晴れない不満の気持ちは、山の鳥に頼んで語ってもらい、世の中の測りがたい人の心は、靄にかすむ柳の中にしまい込みます。
解説
世の中への不満や人の心の不可解さを、自然に預けて心を落ち着かせる一則です。前の句は、胸にたまった不平の気持ちを、人に向かって言い立てるのではなく、山の鳥の鳴き声に託して代わりに語ってもらうと言います。倩は、人に頼んで代わりにしてもらうことです。後の句は、世の中の人の心が測りがたいことを、靄に包まれて見通せない柳にしまい込むと言います。叵測は、測ることができないという意味です。不満や疑いを人にぶつければ争いになり、胸にため込めば自分が苦しくなります。そこで自然の中にそれを放ってしまうという知恵です。腹が立ったとき、まず外に出て鳥の声を聞くだけでも、気持ちは変わるものです。
この章句が説くこと
不平自然処世心忍
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