酔古堂剣掃 / 集綺・子期を黃金に鑄る
同氣之求,惟刺平原於錦繡;同聲之應,徒鑄子期以黃金。
新字:同気之求,惟刺平原於錦繍;同声之応,徒鋳子期以黄金。
書き下し
同氣の求むるは、惟だ平原を錦繡に刺し、 同聲の應ずるは、徒らに子期を黃金に鑄る。
現代語訳
気の合う者を求めても、ただ平原君(戦国趙の公子)の姿を錦に刺繍するばかりです。声の響き合う者を求めても、むなしく鍾子期(伯牙の琴を理解した友)の像を黄金で鋳るばかりです。
解説
真に心の通う友がなかなか得られないことを嘆いた一則です。同気相求め、同声相応ずは、『易経』の言葉で、同じ気質や志を持つ者どうしが自然に引き合うことを言います。前の句の平原君は、数千人の食客を養って人材を大切にした戦国時代の公子で、唐の李賀の詩には、糸を買って平原君の姿を刺繍したいと、そうした人を慕う句があります。後の句の子期は、琴の名手伯牙の音楽を理解した鍾子期で、子期が亡くなると伯牙は琴の弦を断ったと伝えられます。いくら理想の知己を慕っても、刺繍や黄金の像にするしかない、つまり今の世には見当たらないという嘆きです。本当の理解者を得ることの難しさと尊さを思わせます。
この章句が説くこと
知己交友伯牙孤独情
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