酔古堂剣掃 / 集綺・河畔に折柳を憎む
春歸何處,街頭愁殺賣花;客落他鄉,河畔生憎折柳。
新字:春帰何処,街頭愁殺売花;客落他郷,河畔生憎折柳。
書き下し
春何處にか歸る、街頭に賣花に愁殺せらる。 客他鄉に落つ、河畔に折柳を生憎む。
現代語訳
春はどこへ帰っていくのでしょう。街角で花売りの声を聞くと、ひどく愁いに沈んでしまいます。旅人は他郷に落ちぶれて、川のほとりで柳を折る別れの習わしが恨めしく思えます。
解説
過ぎゆく春と、故郷を離れた旅の身の寂しさを重ねた一則です。前の句は、春の終わりに街角で花を売る声を聞いて、その花もやがて散ると思うと、春の行方が気にかかり愁いに沈む様子です。後の句の折柳は、旅立つ人を見送るときに柳の枝を折って贈った中国の習わしです。柳の音が「留」に通じるため、引き留めたい気持ちを込めたとも言われます。他郷に身を落とした旅人にとって、川辺で人々が柳を折って別れを惜しむ光景は、自分の別れを思い出させる辛いものです。生憎は、ひどく憎らしく思うことです。季節の終わりと人との別れは、どちらも取り返しのつかないものを思わせ、人の心を揺さぶります。
この章句が説くこと
春愁旅愁別離折柳情
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