酔古堂剣掃 / 集情・情を含みて柳に問ふ
多恨賦花,風瓣亂侵筆墨,含情問柳,雨絲牽惹衣裾。
新字:多恨賦花,風瓣乱侵筆墨,含情問柳,雨糸牽惹衣裾。
書き下し
恨み多くして花を賦すれば、風瓣亂れて筆墨を侵し、情を含みて柳に問へば、雨絲衣裾を牽惹す。
現代語訳
恨みを胸に花を詩に詠もうとすると、風に舞う花びらが乱れ散って筆や墨にまで降りかかり、思いを胸に柳に問いかけると、雨の糸が衣の裾にまとわりついてきます。
解説
物思いにふける人と、それに応えるかのような自然を描いた対句です。風瓣は風に舞う花びら、雨絲は糸のように細い雨、衣裾は衣のすそです。牽惹は引っぱり、まとわりつくことです。花や柳に向かって胸の内を打ち明けると、花びらが筆に降り、雨が裾に絡んで、まるで自然がその思いに寄り添ってくれるかのようです。心が動いているときほど、周りの小さな出来事にも意味を感じるものです。そうした感受性は、ものを書いたり作ったりする人にとって大切な力です。心が揺れているときこそ、目にしたものを書きとめておく価値があります。
この章句が説くこと
情風雅詩自然感受性
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