酔古堂剣掃 / 集情・三疊の陽關、古今の離恨
幾條楊柳,沾來多少啼痕;三疊陽關,唱徹古今離恨。
新字:幾条楊柳,沾来多少啼痕;三畳陽関,唱徹古今離恨。
書き下し
幾條の楊柳、沾し來る多少の啼痕。 三疊の陽關、唱ひ徹す古今の離恨。
現代語訳
幾筋の柳の枝が、どれほどの涙の跡に濡れてきたことでしょう。三度繰り返して歌う「陽関」の曲は、古今の別れの恨みを歌い尽くしています。
解説
別れの象徴である柳と陽関三畳を対にした一則です。中国では旅立つ人に柳の枝を折って贈る習わしがあり、柳は別れの涙を吸い込んできた木とされました。陽関は、唐の王維の「西のかた陽関を出づれば故人無からん」で知られる送別の詩で、句を三度繰り返して歌ったので陽関三畳と呼ばれます。一本一本の柳の枝に、そこで別れた人々の涙が染みているという見方に、長い歴史の重みが感じられます。別れの悲しみは昔も今も変わらず、歌い継がれてきました。駅や空港で誰かを見送るとき、私たちもまた、古今の離別の思いを受け継ぐ一人なのかもしれません。
この章句が説くこと
離別情送別詩歌柳
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