酔古堂剣掃 / 集綺・好雨詩を催す
微風醒酒,好雨催詩,生韻生情,懷頗不惡。
新字:微風醒酒,好雨催詩,生韻生情,懐頗不悪。
書き下し
微風酒を醒まし、好雨詩を催す。 韻を生じ情を生じ、懷ひ頗る惡しからず。
現代語訳
そよ風は酔いを醒ましてくれ、ほどよい雨は詩心をかきたててくれます。風韻が生まれ、情趣が生まれて、心持ちはなかなか悪くありません。
解説
風と雨がもたらす、ほどよい心地よさを描いた一則です。前の二句は、そよ風が酒の酔いをほどよく醒まし、恵みの雨が詩を作りたい気持ちを誘うという、天候と人の心の響き合いを描いています。好雨は、杜甫の「春夜喜雨」に「好雨時節を知る」とあるように、必要なときに降る恵みの雨のことです。後の二句は、そうして風韻と情趣が生まれ、胸の内がなかなか良い具合だと、満足げに結んでいます。頗る悪しからずという控えめな言い方に、かえって深い満足感がにじみます。晴れた日だけが良い日ではなく、風の日にも雨の日にも、それぞれの味わいがあります。天気に心を合わせて楽しむ余裕を持ちたいものです。
この章句が説くこと
閑適風雨詩作酒情趣