酔古堂剣掃 / 集素・細雨閒かに卷を開く
細雨閒開卷,微風獨弄琴。
新字:細雨閒開巻,微風独弄琴。
書き下し
細雨閒かに卷を開き、微風獨り琴を弄す。
現代語訳
細かな雨の降る日にはのんびりと書物を開き、そよ風の吹く日にはひとりで琴を奏でます。
解説
わずか十字で、閑居の理想的なひとときを描いた五言の対句です。細雨は霧のような細かい雨、開巻は書物を開くことです。雨の日は外に出られないからこそ、心静かに本を読むのにふさわしい時間になります。微風はそよ風、弄琴は琴を気ままに爪弾くことです。独りという言葉に、誰に聞かせるためでもなく自分のために奏でる自由がにじみます。雨の日には読書、風の日には音楽と、天気に逆らわず、その日の空模様に合わせて楽しみを選ぶ暮らし方が見えてきます。雨の日を憂うつな日ではなく、読書の日と決めてしまえば、天気さえ楽しみの一部になることを教えてくれます。
この章句が説くこと
読書閑適雨琴風雅
関連する章句
-
『酔古堂剣掃』集倩・棋を邀へて雨窗に坐す帙を披きて風榻に橫たはり、棋を邀へて雨窗に坐す。
-
『酔古堂剣掃』集素・細雨夜窗の棋暖風春座の酒、細雨夜窗の棋。
-
『酔古堂剣掃』集綺・好雨詩を催す微風酒を醒まし、好雨詩を催す。 韻を生じ情を生じ、懷ひ頗る惡しからず。
-
『酔古堂剣掃』集素・遠山の雲を耕し破る卷を披けば餘閒有り、客を留めて良夜の月を坐し殘す。 帷を褰ぐれば別務無し、童を呼びて遠山の雲を耕し破る。
-
『酔古堂剣掃』集素・閒かに舊句を刪る雨を帶びて時有りて竹を種ゑ、門を關して事無くして花を鋤く。 筆を拈りて閒かに舊句を刪り、泉を汲みて幾たびか新茶を試む。
-
『酔古堂剣掃』集倩・閑中の滋味晨に起きて窗を推せば、紅雨亂れ飛ぶ、閑花笑ふなり。 綠樹聲有り、閑鳥啼くなり。 煙嵐滅沒す、閑雲度るなり。 藻荇數ふべし、閑池靜かなり。 風細く簾青く、林空しく月印す、閑庭峭なり。 山扉晝も扃せども、剝啄每に閑侶多し。 帖括は人に因れども、几案每に閑編多し。 繡佛長齋、禪心釋諦、而して念ひに閑想多く、語に閑詞多し。 閑中の滋味、洵に樂しむに足るなり。