酔古堂剣掃 / 集韻・竹響床に入る
好夢乍回,沈心未燼,風雨如晦,竹響入床,此時興復不淺。
新字:好夢乍回,沈心未燼,風雨如晦,竹響入床,此時興復不浅。
書き下し
好夢乍ち回り、沈心未だ燼きず、風雨晦の如く、竹響床に入る、此の時興復た淺からず。
現代語訳
よい夢からふと覚めると、沈香の芯はまだ燃え尽きておらず、風雨で外は夜のように暗く、竹の鳴る音が寝床にまで入ってきます。このときの興趣は、また格別に深いものです。
解説
雨の日の目覚めの情趣を描いた一則です。沈心は沈香の芯、つまり焚いていた香の燃え残りと読めます。風雨如晦は『詩経』鄭風の「風雨」に見える言葉で、風雨で昼なお暗いさまを言います。よい夢から覚めて、香の残り香の中、嵐に揺れる竹の音を寝床で聞いていると、何とも言えない趣がある、というのです。雨の日は外出もままならず気が滅入りがちですが、見方を変えれば、家の中で雨音を味わう特別な時間になります。天気に気分を左右されるのではなく、どんな天気にもその日だけの味わいを見つけられると、日々はずっと豊かになるでしょう。
この章句が説くこと
風雅閑適自然雨感性
関連する章句
-
『酔古堂剣掃』集峭・竹は榻を掃ふの風を供す雨は硯に添ふるの水を送り、竹は榻を掃ふの風を供す。
-
『酔古堂剣掃』集靈・空山に雨を聽く空山に雨を聽くは、是れ人生の如意の事なり。雨を聽くは必ず空山破寺の中に於てし、寒雨に爐を圍み、以て敗葉を燒き、鮮筍を烹るべし。
-
『酔古堂剣掃』集綺・好雨詩を催す微風酒を醒まし、好雨詩を催す。 韻を生じ情を生じ、懷ひ頗る惡しからず。
-
『酔古堂剣掃』集韻・夜來愁心を滴破す雨寒砌を穿ち、夜來愁心を滴破す。雪虛窗に灑ぎ、曉去りて清影を散開す。
-
『酔古堂剣掃』集韻・雨過ぎて蟬聲來たる雨過ぎて蟬聲來たり、花氣人をして醉はしむ。
-
『酔古堂剣掃』集靈・聲聲肺腸に入る雨過ぎて涼を生じ、境閒にして情適ふ、鄰家の笛韻、晴雲斷雨と逐ひて之を聽けば、聲聲肺腸に入る。