酔古堂剣掃 / 集韻・夜來愁心を滴破す
雨穿寒砌,夜來滴破愁心;雪灑虛窗,曉去散開清影。
新字:雨穿寒砌,夜来滴破愁心;雪灑虚窗,暁去散開清影。
書き下し
雨寒砌を穿ち、夜來愁心を滴破す。雪虛窗に灑ぎ、曉去りて清影を散開す。
現代語訳
雨は冷たい石段に穴をうがつように降り、夜のうちに憂いの心を滴で打ち破ります。雪は人けのない窓に降りそそぎ、明け方が去るころには清らかな影を散らし広げます。
解説
雨と雪を、心の憂いを払うものとして詠んだ対句です。寒砌は冷たい石段や石畳、穿つは雨だれが石に穴をあけるように打ちつけることです。夜通し降る雨の滴が、胸にわだかまる憂いを打ち砕いてくれるというのです。虚窓は人の気配のない窓、あるいは開け放った窓で、そこに雪が降りかかり、夜明けとともに清らかな光と影が散り広がります。ふつうは愁いを誘う雨や雪を、心を洗い流すものとしてとらえ直しているのが印象的です。気が塞ぐ夜も、雨音に身を任せているうちに心がほどけることがあります。天候の移ろいに気持ちを重ね、自分の心を静かに眺めてみたいものです。
この章句が説くこと
風雅憂い自然雨心境
関連する章句
-
『酔古堂剣掃』集韻・空山に雨掛かる謝し將て縹緲として歸る處無く、斷浦に雲沈む。行きて紛紜として繫がれざる時に到れば、空山に雨掛かる。
-
『酔古堂剣掃』集景・愁樂交も集まる雲晴れて叆叆、石楚流滋、狂飆忽ち卷き、珠雨淋漓たり。 黃昏孤燈明滅し、山房清曠にして、意自ら悠然たり。 夜半松濤颶に驚き、蕉園瑯を鳴らし、窾坎の聲、疏密間ま發し、愁樂交も集まり、幽懷を寫すに足る。
-
『酔古堂剣掃』集素・風雨瀟瀟を聞く秋冬の交、夜靜かに獨り坐し、每に風雨の瀟瀟たるを聞けば、既に淒然として愁ふべく、亦た復た悠然として喜ぶべし。 酒醒め燈昏きの際に至りては、尤も懷ひを為し難し。
-
『酔古堂剣掃』集景・湖虛しくして雨を受けて喧し人冷やかにして花に因りて寂かに、湖虛しくして雨を受けて喧し。
-
『酔古堂剣掃』集綺・好雨詩を催す微風酒を醒まし、好雨詩を催す。 韻を生じ情を生じ、懷ひ頗る惡しからず。
-
『酔古堂剣掃』集韻・竹響床に入る好夢乍ち回り、沈心未だ燼きず、風雨晦の如く、竹響床に入る、此の時興復た淺からず。