酔古堂剣掃 / 集綺・竹粉瑯玕の碧に映ず
竹粉映瑯玕之碧,勝新妝流媚,曾無掩面於花宮;花珠凝翡翠之盤,雖什襲非珍,可兔探頷於龍藏。
新字:竹粉映瑯玕之碧,勝新妝流媚,曽無掩面於花宮;花珠凝翡翠之盤,雖什襲非珍,可兔探頷於竜蔵。
書き下し
竹粉は瑯玕の碧に映じ、新妝の流媚に勝り、曾て面を花宮に掩ふ無し。 花珠は翡翠の盤に凝り、什襲すと雖も珍に非ず、頷を龍藏に探るを兔るべし。
現代語訳
竹の白い粉が、宝玉のような竹の緑に映えて、新しい化粧のなまめかしさにも勝り、花の宮殿で顔を隠す必要などまったくありません。花の露の玉が、翡翠のような葉の盤の上に凝り固まり、何重にも包んでしまい込むような珍宝ではないけれど、竜の顎の下を探って宝珠を取る危険を冒さずにすみます。
解説
竹と花の露という身近な自然の美しさを、化粧や宝玉と比べて讃えた一則です。竹粉は、竹の節のあたりに吹く白い粉、瑯玕は青緑色の美しい玉で、竹の美称としても使われます。竹の緑に白い粉が映える姿は、化粧した美人よりも美しく、恥じて顔を隠すことなどないと言います。後の句の花珠は花の上の露の玉、翡翠の盤は緑の葉を盆にたとえたものです。『荘子』には、千金の珠は深い淵に住む黒竜の顎の下にあるという話があり、宝を得るには命がけの危険が伴います。原文の「兔」は「免」の誤りと見て読みました。露の玉は宝物ではないけれど、危険を冒さずとも手に入る美しさだというのです。
この章句が説くこと
竹露自然知足風雅
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