酔古堂剣掃 / 集綺・菱を秋水に采る
鬥草春風,才子愁銷書帶翠;采菱秋水,佳人疑動鏡花香。
新字:鬥草春風,才子愁銷書帯翠;采菱秋水,佳人疑動鏡花香。
書き下し
草を春風に鬥はせば、才子の愁ひは書帶の翠に銷え、 菱を秋水に采れば、佳人は鏡花の香の動くかと疑ふ。
現代語訳
春風の中で草合わせをすれば、才ある若者の憂いも、書帯草の緑の中に消えていきます。秋の水で菱の実を採れば、美しい人は、鏡に映る花の香りが揺らいだのかと思います。
解説
春の草合わせと秋の菱採りという、二つの季節の遊びを対にした一則です。鬥草は、草を持ち寄って種類や強さを競う遊びです。書帯は書帯草のことで、後漢の大学者鄭玄の家の庭に生えていたと伝えられる草で、学問の象徴となりました。遊びの中で、学問に疲れた若者の憂いも緑の草に溶けていくと言います。後の句の菱採りは、江南の女性たちが秋に舟を出して行った仕事で、採菱の歌としてよく詩に詠まれます。水面に映る自分の姿と花が揺れるのを見て、鏡の中の花の香りが動いたかと思う、という繊細な描写です。季節ごとの遊びや手仕事の中に、若者の憂いを慰め、女性の美しさを映す瞬間があるのです。
この章句が説くこと
季節遊び才子佳人風雅
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