酔古堂剣掃 / 集綺・飛花陣有り
石鼓池邊,小單無名可鬥;板橋柳外,飛花有陣堪題。
新字:石鼓池辺,小単無名可鬥;板橋柳外,飛花有陣堪題。
書き下し
石鼓池の邊、小單名無くして鬥はすべし。 板橋柳の外、飛花陣有りて題するに堪ふ。
現代語訳
石鼓池のほとりには、名もない小さな草があって、草合わせの遊びができます。板の橋の柳の向こうには、飛び散る花が隊列をなして舞い、詩の題にするのにふさわしい眺めです。
解説
春の水辺での遊びと詩作の楽しみを並べた一則です。前の句の「鬥」は、草を持ち寄って強さや種類を競う鬥草という遊びを指すと読めます。鬥草は、端午のころに女性や子どもが楽しんだ遊びとして詩文によく出てきます。原文の「小單」は、意味からすると「小草」の誤りではないかと考えて訳しました。名もない草でも、遊びの相手には十分だというところに素朴な楽しさがあります。後の句は、板橋の柳の向こうで花びらが群れをなして舞う様子で、それがそのまま詩の題になると言います。遊びと詩とが、身近な草花の中に自然に生まれてくる。特別な道具や名所がなくても、春の水辺は十分に楽しいということです。
この章句が説くこと
春景遊び詩作風雅閑適
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