酔古堂剣掃 / 集綺・蝶粉波に迷ふ
耀足清流,芹香飛澗;涴花新水,蝶粉迷波。
書き下し
足を清流に耀かせば、芹香澗に飛び、 花を新水に涴せば、蝶粉波に迷ふ。
現代語訳
清らかな流れに足を浸してきらめかせると、芹の香りが谷川に舞い上がり、花を新しい流れの水にひたすと、蝶の鱗粉が波の上で迷うように漂います。
解説
春の谷川での水遊びの情景を描いた一則です。前の句は、清流に足を浸すと、岸辺の芹の香りが谷間に立ちのぼる様子です。原文の「耀」は、足を洗う意味の「濯」と近く、清流に足をすすぐ姿と読めます。清流に足を洗うのは、世俗を離れた高士の姿としてよく詠まれるものです。後の句は、花を新しい水にひたすと、花に止まっていた蝶の粉が波の上をさまよう様子で、「涴」は花を洗う意味の「浣」に通じるとも考えられます。香りと色と動きが一つの場面に溶け合い、春の水辺のみずみずしさが伝わってきます。身近な川辺でも、足を止めて五感を開けば、このような豊かな景色に出会えるでしょう。
この章句が説くこと
春景清流自然閑適風雅
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