酔古堂剣掃 / 集綺・仙犬桃花に吠え入る
水綠霞紅處,仙犬忽驚人,吠入桃花去。
新字:水緑霞紅処,仙犬忽驚人,吠入桃花去。
書き下し
水綠に霞紅なる處、 仙犬忽ち人を驚かし、 吠えて桃花に入り去る。
現代語訳
水は緑に、霞は紅に染まるところで、仙境の犬がふいに人を驚かせ、吠えながら桃の花の中へと入っていきました。
解説
桃の花咲く仙境の入り口を、一匹の犬の姿で描いた詞のような一則です。緑の水と紅の霞という色鮮やかな景色の中、突然仙境の犬が現れて人を驚かせ、吠えながら桃の花の奥へと消えていきます。陶淵明の「桃花源記」では、漁師が桃の林の奥に隠れ里を見つけ、そこでは鶏や犬の声が聞こえたと描かれています。また、劉晨と阮肇が天台山で仙女に出会った話でも、桃の実が重要な役割を果たします。犬が消えた桃の花の奥には、この世ならぬ世界が広がっていることを予感させます。あとを追えば仙境にたどり着けるのか、それとも二度と見つからないのか。短い言葉の中に、物語の始まりのような余韻があります。
この章句が説くこと
仙境桃源風景余韻自然
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