酔古堂剣掃 / 集靈・方に靜裏の乾坤を知る
茅簷外,忽聞犬吠雞鳴,恍似雲中世界;竹窗下,唯有蟬吟鵲噪,方知靜裏乾坤。
新字:茅簷外,忽聞犬吠鶏鳴,恍似雲中世界;竹窗下,唯有蝉吟鵲噪,方知静裏乾坤。
書き下し
茅簷の外、忽ち犬吠え雞鳴くを聞けば、恍として雲中の世界に似たり。竹窗の下、唯だ蟬吟じ鵲噪ぐ有りて、方に靜裏の乾坤を知る。
現代語訳
茅ぶきの軒の外で、ふと犬が吠え鶏が鳴くのを聞くと、ぼんやりと雲の上の仙界にいるような気がします。竹の窓の下には、ただ蝉が鳴き、鵲が騒ぐ声だけがあって、そこではじめて静けさの中にある天地の広さを知ります。
解説
山里の静けさの中で聞こえる音を描いた一則です。犬が吠え鶏が鳴くのが雲中の世界に似るとは、漢の淮南王劉安が仙薬を飲んで天に昇ったとき、残りの薬をなめた犬や鶏まで昇天し、雲の中で鳴いたという伝説を踏まえています。乾坤は天地のことです。まったくの無音ではなく、犬や鶏、蝉や鵲の声が聞こえることで、かえって静けさが深く感じられます。王籍の詩の、蝉噪いで林逾いよ静かなり、と通じる感覚です。都会では音にあふれていますが、ふと耳を澄ますと、鳥の声や風の音が聞こえることがあります。その小さな音が、心に静けさを取り戻させてくれます。
この章句が説くこと
閑寂自然隠逸静けさ故事
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菜根譚・後集竹籬の下、忽ち犬吠鶏鳴を聞かば、恍として雲中の世界に似たり。藝窓の中、雅(まさ)に蝉吟鴉噪を聴かば、方に静裡の乾坤を知る。
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