酔古堂剣掃 / 集綺・少鶴も已に千年
澗險無平石,山深足細泉。短松猶百尺,少鶴已千年。
新字:澗険無平石,山深足細泉。短松猶百尺,少鶴已千年。
書き下し
澗險しくして平石無く、山深くして細泉足る。 短松も猶ほ百尺、少鶴も已に千年。
現代語訳
谷川は険しくて平らな石がなく、山は深くて細い泉がたくさん湧いています。背の低い松でさえ百尺もあり、若い鶴でさえもう千年を生きています。
解説
人里離れた深山の、時の流れが違う世界を描いた一則です。前の二句は、険しい谷と深い山の実景で、平らな石もないほど険しい谷と、あちこちに湧く細い泉が描かれます。後の二句が面白く、その山では低い松でも百尺、若い鶴でも千年を生きていると言います。松と鶴はどちらも長寿の象徴で、ここでは山中の時間の悠久さを誇張して表しています。人間の世界の尺度では大きなものが、ここでは小さなもの、若いものに数えられるという逆転が、仙境の雰囲気を生んでいます。日々の時間に追われていると、何もかもが短く感じられますが、自然の悠久の時を思えば、心の急ぎも少しゆるむのではないでしょうか。
この章句が説くこと
深山長寿松鶴自然仙境
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