酔古堂剣掃 / 集綺・芭蕉は日に近づけば枯れ易し
芭蕉,近日則易枯,迎風則易破。小院背陰,半掩竹窗,分外青翠。
書き下し
芭蕉は、日に近づけば則ち枯れ易く、風を迎ふれば則ち破れ易し。 小院の背陰、半ば竹窗を掩へば、分外に青翠なり。
現代語訳
芭蕉は、日の光に近づけると枯れやすく、風を受けると葉が破れやすいものです。小さな中庭の日陰に植えて、竹の窓を半ば覆うようにすると、ことのほか青々とした緑になります。
解説
芭蕉の育て方を述べながら、ものにはそれぞれ合った場所があることを示した一則です。芭蕉は大きく柔らかな葉を持つ植物で、文人の庭に好んで植えられ、雨の音を聴く風情が詩によく詠まれました。しかし強い日差しに当てると枯れ、風にさらすと葉が裂けてしまいます。そこで日陰の小さな中庭に植え、竹の窓を半ば覆うようにすると、かえって瑞々しい緑を保つと言います。日当たりが良ければ何でも育つわけではなく、そのものの性質に合った場所を選ぶことが大切だということです。人もまた同じで、表舞台で輝く人もいれば、静かな場所でこそ力を発揮する人もいます。適材適所を考えるときの、良いたとえになる句です。
この章句が説くこと
園芸適所自然閑適芭蕉
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