酔古堂剣掃 / 集素・閒かに舊句を刪る
帶雨有時種竹,關門無事鋤花;拈筆閒刪舊句,汲泉幾試新茶。
新字:帯雨有時種竹,関門無事鋤花;拈筆閒刪旧句,汲泉幾試新茶。
書き下し
雨を帶びて時有りて竹を種ゑ、門を關して事無くして花を鋤く。 筆を拈りて閒かに舊句を刪り、泉を汲みて幾たびか新茶を試む。
現代語訳
雨の降るときをみはからって竹を植え、門を閉ざして用事もないので花の手入れをします。筆を手に取って、のんびりと以前に作った句を削り直し、泉の水を汲んで、何度か新茶を味わってみます。
解説
隠居の日課を四つの小さな動作で描いた一則です。雨の日に竹を植えるのは、根付きがよいからで、昔から竹は雨中に植えると言われます。門を閉ざして花を手入れし、古い詩句を推敲し、泉を汲んで新茶を試すと、どれも急ぐ必要のない仕事ばかりです。刪は削る、推敲するという意味です。何かを成し遂げるためではなく、手を動かすこと自体を楽しむ暮らしが見えてきます。休日に庭いじりをしたり、昔書いた文章を読み返して手を入れたりする時間は、心を静かに耕す営みと言えるでしょう。
この章句が説くこと
閑適園芸推敲茶風雅
関連する章句
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『酔古堂剣掃』集靈・只だ來りて竹を種ゑ花に澆がん眉上に幾分の愁ひあらば、且く去りて棋を觀酒を酌み、心中に多少の樂しみあらば、只だ來りて竹を種ゑ花に澆がん。
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『酔古堂剣掃』集素・閒人を以て閒事を做す清閒の人も其の四肢を惰らすべからず、又須らく閒人を以て閒事を做すべし。 古人の帖を臨し、昔年の書を溫め、幾の微塵を拂ひ、硯の宿墨を洗ひ、園中の花に灌ぎ、林中の葉を掃ふ。 體少しく倦むを覺ゆれば、身を匡床の上に放ち、暫く息ふこと半晌にして可なり。
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『酔古堂剣掃』集素・茗を瀹て棋を奕す因りて舊廬を葺き、渠を疏して泉を引き、周らすに花木を以てし、日に其の間に哦す。 故人過り逢へば、茗を瀹て棋を奕し、杯酒淋浪として、殆ど塵中の物に非ざるなり。
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『酔古堂剣掃』集倩・閑中の滋味晨に起きて窗を推せば、紅雨亂れ飛ぶ、閑花笑ふなり。 綠樹聲有り、閑鳥啼くなり。 煙嵐滅沒す、閑雲度るなり。 藻荇數ふべし、閑池靜かなり。 風細く簾青く、林空しく月印す、閑庭峭なり。 山扉晝も扃せども、剝啄每に閑侶多し。 帖括は人に因れども、几案每に閑編多し。 繡佛長齋、禪心釋諦、而して念ひに閑想多く、語に閑詞多し。 閑中の滋味、洵に樂しむに足るなり。
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『酔古堂剣掃』集素・俗塵を撲ち去ること三寸余嘗て一室を淨め、一幾を置き、幾種の快意の書を陳べ、一本の舊法帖を放く。古鼎に香を焚き、素麈もて塵を揮ひ、意思小しく倦めば、暫く竹榻に休む。 餉時にして起き、則ち苦茗を啜り、手に信せて漢書幾行を寫し、意に隨ひて古畫數幅を觀る。 心目の間、灑灑として靈空なるを覺え、面上の俗塵、當に亦た撲ち去ること三寸なるべし。