酔古堂剣掃 / 集綺・狗竇呼ぶに堪ふ
佳人病怯,不耐春寒;豪客多情,猶憐夜飲。李太白之寶花宜障,孟光祖之狗竇堪呼。
新字:佳人病怯,不耐春寒;豪客多情,猶憐夜飲。李太白之宝花宜障,孟光祖之狗竇堪呼。
書き下し
佳人は病みて怯え、春寒に耐へず。 豪客は情多く、猶ほ夜飲を憐れむ。 李太白の寶花は障に宜しく、孟光祖の狗竇は呼ぶに堪ふ。
現代語訳
美しい人は病みがちでか弱く、春の寒さに耐えられません。豪快な客は情が深く、今なお夜の酒宴を好みます。李太白(唐の詩人李白)の宝の花は屏風の飾りにふさわしく、孟光祖(晋の光逸)の犬くぐりの穴は、呼びかけるのにちょうどよいものです。
解説
か弱い佳人と豪放な客という対照的な人物を並べ、それぞれにまつわる故事を添えた一則です。後半の狗竇の話は、晋の光逸、字は孟祖の故事と読めます。胡毋輔之らが家の中で裸になって酒を飲んでいたところへ光逸が訪ね、門番に止められたので、自分も衣を脱いで犬くぐりの穴から大声で呼びかけたところ、こんなことをするのは孟祖に違いないと迎え入れられたと伝えられます。原文の「孟光祖」は「光孟祖」の取り違えと考えられます。李白の宝花の話は李白にまつわる故事と思われますが、出所ははっきりしません。型破りな豪客の奔放さを面白がる、明末の文人の好みがよく表れた一則です。
この章句が説くこと
豪放故事酒風流個性
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