酔古堂剣掃 / 集綺・紅顏薄命
明月當摟,高眠如避,惜哉夜光暗投;芳樹交窗,把玩無主,嗟矣紅顏薄命。
新字:明月当摟,高眠如避,惜哉夜光暗投;芳樹交窗,把玩無主,嗟矣紅顔薄命。
書き下し
明月樓に當るも、高眠して避くるが如し、惜しいかな夜光の暗投。 芳樹窗に交はるも、把玩するに主無し、嗟矣紅顏の薄命。
現代語訳
明るい月が楼閣を照らしているのに、高いびきで眠って避けているかのようです。惜しいことに、夜光の珠を暗闇に投げるようなものです。香りのよい木が窓辺に枝を交えているのに、手に取って愛でる主がいません。ああ、美しい人の薄命のようです。
解説
美しいものが、それを味わう人に出会えずに過ぎていくことを惜しんだ一則です。前の句は、名月が楼を照らしているのに、中の人は眠り込んで見ようともしない様子です。夜光の暗投は、夜光の珠を暗がりで人に投げれば、かえって剣に手をかけられるという『史記』鄒陽伝の言葉に基づき、宝がその価値を知らない者の前に置かれることを言います。後の句は、窓辺の花の木を愛でる人がいない寂しさを、紅顔薄命、すなわち美しい女性が幸せに恵まれないことに重ねています。原文の「摟」は「樓」の意味で読みました。才能や美しさが認められずに埋もれることへの嘆きとして、広く読むこともできます。
この章句が説くこと
惜才薄命風雅明月知己
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