酔古堂剣掃 / 集綺・鄰女の秋砧
高摟對月,鄰女秋砧;古寺聞鐘,山僧曉梵。
新字:高摟対月,鄰女秋砧;古寺聞鐘,山僧暁梵。
書き下し
高樓に月に對せば、鄰女の秋砧。 古寺に鐘を聞けば、山僧の曉梵。
現代語訳
高い楼閣で月に向かえば、隣の娘が秋に砧を打つ音が聞こえ、古い寺で鐘の音を聞けば、山の僧が明け方に読むお経の声が聞こえます。
解説
秋の夜と明け方の音を、二つの場面で並べた一則です。前の句は、高楼で月を眺めていると、隣家の娘が砧を打つ音が響いてくる情景です。砧は、布を柔らかくしたり艶を出したりするために木槌で打つ台のことで、秋の夜に衣を打つ音は、遠くにいる夫や家族を思う寂しさを伴って、唐詩に数多く詠まれました。後の句は、古寺で鐘を聞くと、山の僧が明け方に唱える梵唄、すなわち読経の声が聞こえてくる情景です。俗世の女性の手仕事の音と、世を離れた僧の祈りの声とが対になっています。どちらも静けさの中でこそ聞こえる音です。夜更けや早朝の静かな時間に耳を澄ますと、昼間には気づかない暮らしの音が聞こえてきます。
この章句が説くこと
秋夜音閑寂風雅月
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『酔古堂剣掃』集韻・榻は書を翻す聲に宜し窗は竹雨の聲に宜しく、亭は松風の聲に宜しく、幾は硯を洗ふ聲に宜しく、榻は書を翻す聲に宜しく、月は琴の聲に宜しく、雪は茶の聲に宜しく、春は箏の聲に宜しく、秋は笛の聲に宜しく、夜は砧の聲に宜し。
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