酔古堂剣掃 / 集韻・化して天籟と作る
讀書夜坐,鐘聲遠聞,梵響相和,從林端來,灑灑窗几上,化作天籟虛無矣。
新字:読書夜坐,鐘声遠聞,梵響相和,従林端来,灑灑窗几上,化作天籟虚無矣。
書き下し
書を讀みて夜坐すれば、鐘聲遠く聞こえ、梵響相和し、林端より來たり、窗几の上に灑灑として、化して天籟の虛無と作る。
現代語訳
書を読んで夜に座っていると、鐘の音が遠くから聞こえ、読経の響きがそれに調和して、林の端から流れてきます。それが窓辺の机の上にさらさらと降りそそぎ、やがて天の奏でる音の虚無へと溶けていきます。
解説
夜の読書のさなかに聞こえる寺の鐘と読経を描いた一則です。梵響は寺で唱える読経の声、林端は林の梢や端のことです。灑灑は水が降りそそぐように音が満ちるさまを言います。天籟は『荘子』斉物論に出る言葉で、人の奏でる人籟、大地の穴が鳴る地籟に対し、それらを鳴らしている天の音を指します。鐘と経の響きが、机の上に降りそそいだのち、やがて天籟の虚無、すなわち形のない天の音楽に溶けていくというのです。人の営みの音が自然と一つになる瞬間をとらえています。夜、本を読みながら遠くの音に耳を傾けると、心が静かに広がっていくのを感じられるでしょう。
この章句が説くこと
読書静寂寺院自然風雅
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