酔古堂剣掃 / 集景・東風柳眼を開く
東風開柳眼,黃鳥罵桃奴。
新字:東風開柳眼,黄鳥罵桃奴。
書き下し
東風柳眼を開き、黃鳥桃奴を罵る。
現代語訳
春の東風が柳の芽を開かせ、うぐいすが枝に残った古い桃の実を罵っています。
解説
早春の景色を、擬人法を使って生き生きと描いた五言の対句です。東風は春に吹く東からの風で、春風のことです。柳眼は、芽吹いたばかりの細長い柳の若葉を、眠そうな目にたとえた言葉で、風がその目を開かせるという表現になっています。後の句の黄鳥はうぐいす、桃奴は冬を越して枝に干からびて残った桃の実を言うとみられます。新しい季節の訪れを告げるうぐいすが、いつまでも枝にしがみついている去年の実をしかりつけている、というユーモラスな光景です。新しいものが芽吹く季節に、古いものがいつまでも居座っているのをからかう、軽やかな遊び心が感じられます。
この章句が説くこと
自然春風雅諧謔季節
関連する章句
-
『酔古堂剣掃』集綺・桃紅李白桃は紅に李は白く、疏籬に細雨初めて來る。 燕は紫に鶯は黃に、老樹に斜風乍ち透る。
-
『酔古堂剣掃』集景・杜鵑啼き斷つ落花の風千竿の修竹、周遭す半畝の方塘。 一片の白雲、遮蔽す五株の垂柳。 山館秋深く、野鶴唳き殘す清夜の月。 江園春暮れ、杜鵑啼き斷つ落花の風。
-
『酔古堂剣掃』集綺・四時の宜しき風柳眼を開き、露桃腮を浥し、黃鸝春を呼び、青鳥雨を送り、海棠は嫩紫、芍藥は嫣紅、其の春に宜しきなり。 碧荷錢を鑄、綠柳絲を繅り、龍孫殼を脫し、鳩婦晴を喚び、雨は黃梅に驟く、日は綠李を蒸す、其の夏に宜しきなり。 槐陰未だ斷えず、雁信初めて來り、秋英言無く、曉露結ばんと欲し、蓐收席を避け、青女妝を辦ず、其の秋に宜しきなり。 桂子風高く、蘆花月老い、溪毛碧く瘦せ、山骨蒼く寒く、千巖梅を見、一雪臘ならんと欲す、其の冬に宜しきなり。
-
『酔古堂剣掃』集綺・春遊第一の風光柳花燕子、地に貼きて飛ばんと欲し、 畫扇練裙、人を避けて進まんと欲す。 此れ春遊第一の風光なり。
-
『酔古堂剣掃』集景・路は杏花の酒舍に接す曲徑煙深く、路は杏花の酒舍に接す。 澄江日落ちて、門は楊柳の漁家に通ず。
-
『酔古堂剣掃』集景・流水碧色なり旭日始めて暖かに、蕙草織るべし。 園桃紅點じ、流水碧色なり。