酔古堂剣掃 / 集綺・窗前の俊石
窗前俊石冷然,可代高人把臂,檻外名花綽約,無煩美女分香。
書き下し
窗前の俊石冷然として、高人の把臂に代ふべし。 檻外の名花綽約として、美女の分香を煩はす無し。
現代語訳
窓の前の姿のよい石はひんやりと澄んでいて、高潔な人と腕を取り合って語らうことの代わりになります。手すりの外の名花はしなやかに美しく、美しい女性に香りを分けてもらう手間もいりません。
解説
庭の石と花を、人の代わりの友や伴侶に見立てた一則です。俊石は形のすぐれた石で、文人は庭や書斎に奇石を置いて愛でました。冷然とした石のたたずまいは、世俗を離れた高士の風格に通じ、その石に向き合っていれば、高人と腕を取り合う親しい交わりの代わりになると言います。後の句の名花は、しなやかで美しい姿そのものが美女に等しく、わざわざ美しい人から香りを分けてもらう必要もないと言います。人との交わりを求めずとも、石と花があれば心は満たされるという、隠逸の暮らしの自足を表しています。人付き合いに疲れたとき、身近な自然の中に心を通わせる相手を見いだすことができれば、孤独もまた豊かなものになります。
この章句が説くこと
隠逸奇石名花自足閑適
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