酔古堂剣掃 / 集綺・風神は筆墨の外に在り
衲子飛觴歷亂,解脫於樽斝之間;釵行揮翰淋漓,風神在筆墨之外。
新字:衲子飛觴歴乱,解脱於樽斝之間;釵行揮翰淋漓,風神在筆墨之外。
書き下し
衲子觴を飛ばして歷亂たり、解脫は樽斝の間に於てす。 釵行翰を揮ひて淋漓たり、風神は筆墨の外に在り。
現代語訳
僧侶が杯を飛ばすように酒を酌み交わして入り乱れ、悟りの解脱は酒樽や杯の間にあります。女性たちが筆を振るって墨を滴らせ、その風格と気品は筆と墨の外にあらわれます。
解説
型にはまらない僧侶と、筆を振るう女性という、意外な取り合わせを描いた一則です。衲子は、つぎはぎの衣を着た僧侶のことです。僧が酒杯を交わして乱れる姿は戒律から見れば問題ですが、ここでは形式にとらわれない自由な境地として、解脱は酒席の間にもあると言います。釵行は、かんざしを挿す人々、すなわち女性たちのことです。女性が筆を思うままに振るい、その気品が書の技巧を越えてにじみ出る様子を讃えています。どちらも、世間が思い描く型を外れたところに本当の風趣があるという見方です。肩書きや役割にふさわしいふるまいだけでなく、その人らしさが出たときに魅力が生まれることを教えてくれます。
この章句が説くこと
風雅書道自由禅個性
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