酔古堂剣掃 / 集景・妝臺の明月猶ほ懸る
南湖水落,妝臺之明月猶懸;西郭煙銷,繡榻之彩雲不散。
新字:南湖水落,妝台之明月猶懸;西郭煙銷,繍榻之彩雲不散。
書き下し
南湖水落ちて、妝臺の明月猶ほ懸り、西郭煙銷えて、繡榻の彩雲散ぜず。
現代語訳
南の湖の水が引いても、化粧台の上には明るい月がなお懸かっています。西の城郭の靄が消えても、刺繍の寝台には彩りの雲が散らずに残っています。
解説
水が引き靄が消えたあとにも残る美しさを描いた、余韻の深い対句です。妝臺は化粧台、繡榻は刺繍を施した寝台で、いずれも女性の住まいを思わせる言葉です。前の句では、湖の水が引いても、化粧台に月の光がなお差し込んでいると言い、後の句では、町の靄が消えても、寝台のまわりに色とりどりの雲がたなびいていると言います。何を詠んだものか確かなことはわかりませんが、かつて誰かが住んだ部屋に、主人がいなくなった後も美しい面影が残っているとも読めます。景色が変わっても消えない美しさがあるという感覚は、思い出の場所を訪ねたときに誰もが抱くものかもしれません。
この章句が説くこと
風雅追憶月余韻景色
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