酔古堂剣掃 / 集奇・空を談ずるは鬼を說くに若かず
則何益矣,茗戰有如酒兵;試妄言之,談空不若說鬼。
新字:則何益矣,茗戦有如酒兵;試妄言之,談空不若説鬼。
書き下し
則ち何の益かあらん、茗戰は酒兵の如き有り。試みに妄りに之を言へ、空を談ずるは鬼を說くに若かず。
現代語訳
それが何の役に立つでしょう。茶の競い合いも、愁いを討つ酒の兵と同じようなものです。試しに、でたらめでよいから話してみなさい。空を論じるより、幽霊の話をするほうがましです。
解説
遊びの効用を、茶と酒、怪談と空論で語った一則です。茗戦は茶の味を競う遊び、酒兵は酒を、愁いを打ち破る兵にたとえた言葉です。茶の遊びも酒と同じく、憂さ晴らしの役に立つというのです。後半は宋の蘇軾の逸話を踏まえたものでしょう。蘇軾は流された黄州で、客に怪談を話せとせがみ、話がないと言う者には、でたらめでもよいから話せ、と言ったと伝えられます。談空は仏教の空の理を論じることで、そうした難しい議論をするより、鬼、つまり幽霊の話でもしているほうが楽しいというのです。役に立つかどうかにとらわれず、気の置けない雑談を楽しむ時間も、人生には欠かせません。
この章句が説くこと
茶道酒諧謔交友閑適
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