酔古堂剣掃 / 集素・茶は隱に類し酒は俠に類す
熱湯如沸,茶不勝酒;幽韻如云,酒不勝茶。茶類隱,酒類俠。酒固道廣,茶亦德素。
新字:熱湯如沸,茶不勝酒;幽韻如云,酒不勝茶。茶類隠,酒類侠。酒固道広,茶亦徳素。
書き下し
熱湯沸くが如きは、茶は酒に勝たず。 幽韻云の如きは、酒は茶に勝たず。 茶は隱に類し、酒は俠に類す。 酒は固より道廣く、茶も亦た德素なり。
現代語訳
熱い湯が沸き立つように気分が高ぶる場では、茶は酒にかないません。奥ゆかしい趣が雲のように漂う場では、酒は茶にかないません。茶は隠者に似ており、酒は侠客に似ています。酒はもとより交わりの道が広く、茶もまた飾らない素朴な徳を持っています。
解説
茶と酒の性格の違いを、場面と人柄にたとえて比べた一則です。前半は、熱気あふれる場には酒がふさわしく、静かで奥ゆかしい場には茶がふさわしいと言います。幽韻は奥ゆかしい趣で、云は雲に通じ、たなびく雲のように漂うさまを言うと読みました。茶は隠者のように静かで控えめ、酒は侠客のように豪快で情に厚いというたとえは、両者の性格を見事に言い当てています。道広は交わりの範囲が広いこと、徳素は飾らない素朴な徳です。どちらが優れているかではなく、それぞれに持ち味と出番があるという公平な見方です。人にも茶のような人と酒のような人がいて、場面に応じてその良さが生きるのでしょう。
この章句が説くこと
茶酒風雅個性交友
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