酔古堂剣掃 / 集奇・浦を出づる輕蓮
艷出浦之輕蓮,麗穿波之半月。
新字:艶出浦之軽蓮,麗穿波之半月。
書き下し
艷なること浦を出づる輕蓮のごとく、麗しきこと波を穿つ半月のごとし。
現代語訳
その艶やかさは、入り江から顔を出した軽やかな蓮の花のようであり、その麗しさは、波間を貫いて昇る半月のようです。
解説
美しさを、蓮の花と半月にたとえた対句です。浦は入り江や水辺、軽蓮は軽やかに水面に浮かぶ蓮の花です。水の中からすっと顔を出す蓮は、泥の中から生まれて汚れに染まらない清らかさの象徴でもあります。後半の半月は、波を貫くように水面の上に姿を見せる月で、水と光の揺らめきが美しさを引き立てます。魏の曹植の「洛神の賦」に、洛水の女神を緑の波から出た蓮にたとえる一節があり、この句もそうした美人描写の伝統に連なるものでしょう。何を描いたとも書かれていませんが、女性の美しさとも、水辺の景色そのものとも読めます。清らかで気品ある美しさへの憧れが表れています。
この章句が説くこと
美意識風雅蓮月自然
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