酔古堂剣掃 / 集奇・一世の窮根は一撚の傲骨に在り
一世窮根,種在一撚傲骨;千古笑端,伏於幾個殘牙。
新字:一世窮根,種在一撚傲骨;千古笑端,伏於幾個残牙。
書き下し
一世の窮根は、一撚の傲骨に種ゑ在り。千古の笑端は、幾個の殘牙に伏す。
現代語訳
一生の貧しさの根は、ひとつまみの傲骨に植えられています。千古に続く笑いの種は、数本の欠け残った歯の中に潜んでいます。
解説
気骨ある者の貧しさと、老いてなお笑う姿とを対にした一則です。窮根は貧窮の根本、一撚はひとつまみ、傲骨は権勢に屈しない誇り高い気骨を言います。世にこびず節を曲げない性分こそが、一生貧しさから抜けられない原因だというのです。後半の残牙は、老いて抜け落ちずに残った数本の歯で、そこに千古の笑いの端緒が潜んでいると言います。字句にやや難しいところがありますが、貧しくとも気骨を捨てず、老いて歯が欠けても大口を開けて世を笑い飛ばす、そんな痛快な老人の姿と読めるでしょう。誇りを守って得られなかったものがあっても、笑って生きられるなら、それは一つの豊かさです。
この章句が説くこと
気骨清貧諧謔老い処世
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