酔古堂剣掃 / 集景・清嘯自ら良夜に紆る
清送素蛾之環佩,逸移幽土之羽裳。想思足慰於故人,清嘯自紆於良夜。
書き下し
清く素蛾の環佩を送り、逸に幽土の羽裳を移す。 想思は故人を慰むるに足り、清嘯は自ら良夜に紆る。
現代語訳
清らかに月の女神の帯玉の音を送り、のびやかに隠れ住む人の羽衣を運びます。思いを寄せることは古い友を慰めるのに十分で、澄んだ口笛の声は、おのずとよい夜にまつわりついて響きます。
解説
月夜の情景に、友への思いを重ねた一則です。素蛾は月に住むという女神、嫦娥のことで、環佩は腰に下げた帯玉です。月の光を、女神が身につけた玉の触れ合う清らかな音にたとえています。幽土は、隠れ住む人を言う幽士の誤りかとも思われ、羽裳はその人がまとう羽衣です。句の意味は取りにくいところもありますが、月の光と風とが、仙女や隠者の衣を運んでくるような、幻想的な夜の気配が描かれています。後半では、遠く離れた故人、すなわち古くからの友を思う気持ちが、その友を慰めるに足りると言い、清らかな口笛の声が夜にまつわると結んでいます。美しい月夜には、遠くの友に便りを出したくなるものです。
この章句が説くこと
風雅月交友追憶夜
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