酔古堂剣掃 / 集情・只だ愁ふ天酒の傾くこと斗の如きを
零亂如珠為㸃粧,素輝乘月溼衣裳,只愁天酒傾如斗,醉卻環姿傍玉牀。
新字:零乱如珠為点粧,素輝乗月湿衣裳,只愁天酒傾如斗,酔却環姿傍玉牀。
書き下し
零亂として珠の如く㸃粧を爲し、素輝は月に乘じて衣裳を溼す、只だ愁ふ天酒の傾くこと斗の如く、環姿を醉卻して玉牀に傍はしめんことを。
現代語訳
散り乱れる露は真珠のように化粧の点となり、白い輝きは月の光に乗って衣裳を濡らします。ただ気がかりなのは、天の酒(露)が柄杓を傾けたようにこぼれて、玉環(楊貴妃)のような美しい人を酔わせ、玉の寝台に寄りかからせてしまうことです。
解説
夜露を美人に寄せて詠んだとみられる七言の四句です。天酒は露の異名で、天から降る酒になぞらえた呼び名です。前半では、散らばる露が真珠のように顔の化粧の点となり、月光とともに白く輝いて衣を濡らすと言います。後半では、その天の酒が柄杓を傾けたようにあふれ、楊貴妃(名は玉環)を思わせる美しい人を酔わせて寝台にもたれさせてしまうのではないかと案じます。露という小さな自然の現象を、化粧・衣・酒・酔いと次々に人の姿へ移していく連想の巧みさがこの句の見どころです。身近な自然に人の姿を重ねて見る目は、日々を豊かにしてくれます。
この章句が説くこと
露艶麗月夜詩情自然
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