酔古堂剣掃 / 集奇・讀みて淚を墮さざる者
讀諸葛武侯《出師表》而不墮淚者,其人必不忠;讀韓退之《祭十二郎文》而不墮淚者,其人必不友。
新字:読諸葛武侯《出師表》而不堕涙者,其人必不忠;読韓退之《祭十二郎文》而不堕涙者,其人必不友。
書き下し
諸葛武侯の『出師表』を讀みて淚を墮さざる者は、其の人必ず忠ならず。韓退之の『祭十二郎文』を讀みて淚を墮さざる者は、其の人必ず友ならず。
現代語訳
諸葛武侯(三国蜀の諸葛亮)の「出師表」を読んで涙を流さない者は、その人はきっと忠義の心がありません。韓退之(唐の韓愈)の「祭十二郎文」を読んで涙を流さない者は、その人はきっと肉親への情愛がありません。
解説
名文に涙する心が、その人の人柄を映すと言う対句です。「出師表」は、蜀の諸葛亮が魏を討つ出陣に際し、若い皇帝劉禅に奉った上表文で、先帝劉備への恩義と国への忠誠が切々と綴られています。「祭十二郎文」は、唐の韓愈が、兄弟同然に育った甥の死を悼んだ祭文で、肉親を失った悲しみがあふれています。ここでの友は、兄弟や身内を思いやる情のことです。古くから、こうした名文を読んで泣かない者は忠でも孝でもない、という言い回しがあり、この句もその一つです。心を打つ文章に素直に涙できる感受性は、人を大切にする心の土台なのでしょう。
この章句が説くこと
忠義読書感動真情友愛
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