酔古堂剣掃 / 集奇・美人は簾影を看る
花看水影,竹看月影,美人看簾影。
書き下し
花は水影を看、竹は月影を看、美人は簾影を看る。
現代語訳
花は水に映った影を眺め、竹は月に照らされた影を眺め、美人は簾越しの影を眺めるのがよいのです。
解説
美しいものは直接見るより、影を通して見るほうが趣が深いと言う一則です。花を水面に映して見れば、ゆらめいて実物以上に幻想的になります。竹は月光に照らされて壁や地面に映る影こそ美しく、宋の文人たちは竹の影を写して墨竹を描いたとも言われます。美人もまた、はっきり姿を見るより、簾越しにほのかに見えるほうが心惹かれるというのです。三つとも、あえて間接的に見ることで想像の余地が生まれ、美しさが増すという美意識です。すべてをはっきり見せるより、少し隠すことで魅力が増すことは、ものづくりや表現の世界でも大切な知恵でしょう。
この章句が説くこと
風雅美意識余情見立て自然
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