酔古堂剣掃 / 集韻・蒼苔に印するは只だ屐齒
疏簾清簟,銷白晝惟有棋聲;幽徑柴門,印蒼苔只容屐齒。
新字:疏簾清簟,銷白昼惟有棋声;幽径柴門,印蒼苔只容屐歯。
書き下し
疏簾清簟、白晝を銷すは惟だ棋聲有るのみ。幽徑柴門、蒼苔に印するは只だ屐齒を容るるのみ。
現代語訳
目の粗い簾と涼しい竹の敷物のある部屋で、長い昼を過ごすのは、ただ碁石を打つ音があるだけです。ひっそりとした小道と柴の門のある家で、青い苔に跡を残すのは、ただ下駄の歯を受け入れるだけです。
解説
訪れる人の少ない静かな住まいを描いた対句です。疏簾は目の粗いすだれ、清簟は涼しい竹の敷物で、夏の室内の道具です。銷は時を過ごす、消すことです。長い昼を過ごす相手は碁だけで、ほかに人の声はありません。柴門は柴で作った粗末な門、屐歯は下駄の歯のことです。苔むした小道に残る足跡は、ときおり訪れる親しい友の下駄の跡くらいだというのです。人の出入りが少ないことを寂しさとしてではなく、静けさの証として楽しんでいます。多くの人と関わることも大切ですが、限られた人とだけ静かに過ごす時間にも、得がたい豊かさがあるものです。
この章句が説くこと
閑適隠逸清閑交友静寂
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