酔古堂剣掃 / 集韻・竹窗の下に書を枕として高臥す
松澗邊攜杖獨往,立處雲生破衲;竹窗下枕書高臥,覺時月浸寒氈。
新字:松澗辺攜杖独往,立処雲生破衲;竹窗下枕書高臥,覚時月浸寒氈。
書き下し
松澗の邊に杖を攜へて獨り往けば、立つ處雲破衲に生じ、竹窗の下に書を枕として高臥すれば、覺むる時月寒氈を浸す。
現代語訳
松の生える谷川のほとりを杖をついてひとり行くと、立ち止まったところで雲がわき、破れた僧衣にまとわりつきます。竹の窓辺で書物を枕に悠々と寝そべると、目覚めたときには月の光が冷たい毛氈を浸しています。
解説
山中を歩くひとときと、窓辺で眠るひとときを描いた対句です。破衲は破れた僧衣、つぎはぎの粗末な衣のことで、高臥は俗事を離れて悠々と寝そべることです。寒氈は冷えた毛氈、粗末な敷物です。立ち止まればそこに雲が生じ、眠りから覚めれば月光が寝床を満たしている、という描写に、自然と一体になった隠者の自由がにじみます。菜根譚にもほぼ同じ句があります。粗末な衣や敷物しか持たなくても、雲や月という最上の贅沢に囲まれているのです。物の豊かさとは別の豊かさがあることを、この句は静かに教えてくれます。
この章句が説くこと
清貧隠逸読書閑適自然
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