酔古堂剣掃 / 集韻・此の趣は惟だ白香山のみ之を得
「今日鬢絲禪榻畔,茶煙輕飏落花風。」此趣惟白香山得之。
新字:「今日鬢糸禅榻畔,茶煙軽飏落花風。」此趣惟白香山得之。
書き下し
「今日鬢絲禪榻の畔、茶煙輕く飏がる落花の風」と。此の趣は惟だ白香山のみ之を得たり。
現代語訳
「今日、白髪まじりの鬢で禅の腰掛けのかたわらにいると、茶を煮る煙が、花を散らす風に軽く舞い上がる」。この趣は、ただ白香山(唐の白居易)だけが会得していたのです。
解説
老境の静けさを詠んだ詩句を引き、その趣をたたえた一則です。鬢糸は白髪まじりの鬢の毛、禅榻は座禅のための腰掛けです。若いころの華やかな日々を過ぎ、禅寺で茶を煮る煙が落花の風に揺れるのを眺めている、という枯れた味わいのある句です。筆者はこれを白居易、号は香山居士の境地としていますが、この詩句は一般には唐の杜牧の「題禅院」の結びとして知られています。筆者の記憶違いか、白居易の閑適の境地になぞらえたものかもしれません。いずれにせよ、年を重ねて静かに茶を楽しむ姿には、若さとは違う豊かさがあります。老いを寂しさでなく、静かな味わいとして迎えたいものです。
この章句が説くこと
老い禅茶道閑適風雅
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