酔古堂剣掃 / 集韻・無名の釣徒と作る
買舟載書,作無名釣徒。每當草蓑月冷,鐵笛風清,覺張志和、陸天隨去人未遠。
新字:買舟載書,作無名釣徒。毎当草蓑月冷,鉄笛風清,覚張志和、陸天随去人未遠。
書き下し
舟を買ひて書を載せ、無名の釣徒と作る。草蓑に月冷やかに、鐵笛に風清き每に、張志和、陸天隨の人を去ること未だ遠からざるを覺ゆ。
現代語訳
舟を買って書物を積み込み、名もない釣り人になります。草の蓑に月の光が冷たくさし、鉄の笛に清らかな風が吹くたびに、張志和(唐の隠者で「漁父詞」の作者)や陸天随(唐の陸亀蒙)も、私からそう遠くない人のように感じられるのです。
解説
舟と書物を友に、名もない釣り人として生きる憧れを述べた一則です。張志和は唐の人で、官を辞して江湖に舟を浮かべ、自ら烟波釣徒と称し、「漁父詞」を作ったことで知られます。陸天随は唐の陸亀蒙で、天随子と号し、舟に書物や茶道具を載せて江湖を漂った隠者です。草蓑は草で編んだ雨具、鉄笛は鉄で作った笛です。月の冷たい夜に笛を吹いていると、そうした古の隠者たちがすぐそばにいるように思えるというのです。名声を求めず、好きなものに囲まれて気ままに生きる姿への憧れがあります。ときには肩書きを忘れ、名もない一人として好きなことに没頭する時間を持ちたいものです。
この章句が説くこと
隠逸読書釣り自由閑適
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