酔古堂剣掃 / 集景・湖虛しくして雨を受けて喧し
人冷因花寂,湖虛受雨喧。
新字:人冷因花寂,湖虚受雨喧。
書き下し
人冷やかにして花に因りて寂かに、湖虛しくして雨を受けて喧し。
現代語訳
人の心が冷めていると、花を見てもかえってひっそりと寂しく感じます。湖が空っぽのように静かだと、雨を受けてかえって騒がしく響きます。
解説
心と景色、静けさと音とが互いに影響し合うさまを、五言の対句で描いた一則です。前の句は、人の心が冷えているときには、華やかな花さえ寂しく見えるという、心が景色を染める働きを言っています。後の句は、何もない静かな湖面だからこそ、雨粒の当たる音がひときわ騒がしく聞こえるという、静けさが音を際立たせる働きです。虛は、ここでは湖面に何もなく、ひっそりと広がっている様子を指しています。寂と喧という正反対の字を、二つの句の同じ位置に置いているのが工夫です。気分が沈んでいるときに見る景色が色あせて見えたら、景色ではなく自分の心の温度を確かめてみるとよいのかもしれません。
この章句が説くこと
自然心境風雅雨静寂
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