酔古堂剣掃 / 集韻・爐香缺く可からず
深山高居,爐香不可缺,取老松柏之根枝實葉,共搗治之,研風昉羼和之,每焚一丸,亦足助清苦。
新字:深山高居,炉香不可欠,取老松柏之根枝実葉,共搗治之,研風昉羼和之,毎焚一丸,亦足助清苦。
書き下し
深山に高居すれば、爐香缺く可からず。老いたる松柏の根枝實葉を取り、共に之を搗き治め、風昉を研りて之に羼和し、一丸を焚く每に、亦た清苦を助くるに足る。
現代語訳
深山に高く住まうなら、香炉の香は欠かせません。年経た松や柏の根や枝、実や葉を取ってきて、一緒に搗いて整え、楓の脂を細かくすりつぶして混ぜ合わせます。一丸焚くたびに、清らかで質素な暮らしを十分に助けてくれます。
解説
山住まいのための手作りの香の作り方を記した一則です。松柏は松と柏(ひのき類)で、どちらも冬にも緑を保つ常緑樹として節操の象徴とされてきました。その根や枝、実や葉を搗いて粉にし、脂で練り合わせて丸薬のような練り香にします。原文の風昉は、楓の樹脂を言う楓肪の誤りと見られ、そのように訳しました。羼和は混ぜ合わせることです。高価な沈香や麝香を買わず、山にある材料で香を作るところに、清苦、すなわち清らかで質素な暮らしの工夫が表れています。身近な素材で暮らしの楽しみを手作りすることは、今も心を豊かにしてくれる営みです。
この章句が説くこと
清貧隠逸香手仕事自然
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