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酔古堂剣掃 / 集靈・聲聲肺腸に入る

雨過生涼境閒情,適鄰家笛韻,與晴雲斷雨逐聽之,聲聲入肺腸。

新字:雨過生涼境閒情,適鄰家笛韻,与晴雲断雨逐聴之,声声入肺腸。

書き下し

雨過ぎて涼を生じ、境閒にして情適ふ、鄰家の笛韻、晴雲斷雨と逐ひて之を聽けば、聲聲肺腸に入る。

現代語訳

雨が過ぎて涼しさが生まれ、あたりは静かで心も満ち足りています。隣の家から聞こえる笛の調べを、晴れていく雲や途切れがちな雨とともに追いかけるように聴いていると、一音一音が胸の奥にしみ入ります。

解説

雨上がりに聞こえる隣家の笛を、心に深くしみる音として描いた一則です。原文は句読点の切り方がやや乱れていますが、雨過ぎて涼しく、境は静かで心は適う、と読むと意味が通ります。晴雲斷雨は、雲が晴れていき雨がとぎれとぎれになる様子で、移ろう空模様と笛の音が重なり合っています。肺腸は胸の奥、心の底を言います。自分で奏でるのではなく、たまたま聞こえてくる音に耳を傾けるところに、偶然を楽しむ閑かな心があります。近所から聞こえてくる楽器の音や子どもの声も、心にゆとりのあるときには、暮らしを彩る音楽として聞こえてくるものです。

この章句が説くこと

閑適音楽自然風雅

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