酔古堂剣掃 / 集韻・雲は心無くして岫を出づ
月有意而入窗,雲無心而出岫。
書き下し
月は意有りて窗に入り、雲は心無くして岫を出づ。
現代語訳
月は思いがあるかのように窓から差し込み、雲は何の思惑もなく山の洞穴から湧き出てきます。
解説
有心と無心とを、月と雲に振り分けた対句です。後半の雲無心而出岫は、晋の陶淵明の「帰去来の辞」にある句をほぼそのまま用いたもので、岫は山の峰や洞穴を言います。雲は何かをしようという心もなく、ただ自然に山から湧き出してくる、それが官を辞して故郷に帰る陶淵明の心境と重ねられてきました。一方、月はまるで意図があるかのように、わざわざ窓辺に差し込んで人を訪ねてくると見ています。自然のふるまいに、人の心を読み取る遊び心がうかがえます。何かを求めて動くときと、ただ流れに任せるときと、そのどちらも人生には必要です。
この章句が説くこと
無心自然隠逸閑適月
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