酔古堂剣掃 / 集素・復た太清を滓穢せず
浮雲出岫,絕壁天懸,日月清朗,不無微雲點綴。看雲飛軒軒霞舉,踞胡床與友人詠謔,不復滓穢太清。
新字:浮雲出岫,絶壁天懸,日月清朗,不無微雲点綴。看雲飛軒軒霞舉,踞胡床与友人詠謔,不復滓穢太清。
書き下し
浮雲岫を出で、絕壁天に懸かる。 日月清朗なるも、微雲の點綴無くんばあらず。 雲の飛ぶこと軒軒として霞の舉がるを看、胡床に踞して友人と詠謔し、復た太清を滓穢せず。
現代語訳
浮き雲が山の洞穴から湧き出し、絶壁が天から懸かるようにそびえています。太陽と月がすっきり明るく照っていても、薄雲がところどころに彩りを添えていないことはありません。雲が軒昂と飛び、霞が高く立ちのぼるのを眺めながら、腰掛けにどっかと座って友と詩を吟じ冗談を言い合い、もはや清らかな天空を汚すようなことはしません。
解説
空と雲を眺めながら友と語らう楽しみを、『世説新語』の故事を織り込んで描いた一則です。浮雲出岫は陶淵明の帰去来辞の、雲は無心にして岫を出づという句を踏まえます。岫は山の洞穴です。微雲点綴は、東晋の謝重が、月には少し雲がかかっているほうがよいと言い、司馬道子に、君は心が清くないから清らかな空を汚そうとするのかとからかわれた話によります。太清は清らかな天空、滓穢は汚すことです。胡床は折りたたみ式の腰掛けで、東晋の庾亮が秋の夜に南楼で胡床に腰掛け、部下と詩を吟じ談笑した話が知られます。完璧な晴天より少しの雲という美意識と、それを冗談にして笑い合う友との時間が伝わってきます。
この章句が説くこと
交友自然風雅世説新語雲
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