酔古堂剣掃 / 集靈・一潭の明月釣れども痕無し
半塢白雲耕不盡,一潭明月釣無痕。
新字:半塢白雲耕不尽,一潭明月釣無痕。
書き下し
半塢の白雲耕せども盡きず、一潭の明月釣れども痕無し。
現代語訳
山あいの窪地の半ばを覆う白い雲は、いくら耕しても尽きることがなく、淵いっぱいに映る明るい月は、いくら釣っても跡が残りません。
解説
雲を耕し月を釣るという、隠者の風雅な暮らしを描いた対句です。塢は山に囲まれた窪地や小さな村、潭は深い淵のことです。雲を耕すとは、山の上の雲がかかる畑を耕すこと、月を釣るとは、水面に映る月の中で釣り糸を垂れることで、どちらも隠者の暮らしをいう詩的な表現です。雲は耕しても尽きず、月は釣っても傷つかない。自然は人がどれほど楽しんでも減ることのない、無尽蔵の宝だということです。蘇軾が赤壁賦で、江上の清風と山間の明月は取れども尽きないと述べた心と通じます。お金で買えない自然の豊かさを、存分に味わいたいものです。
この章句が説くこと
隠逸自然閑適月風雅
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