酔古堂剣掃 / 集韻・頓に月をして瘦せしむ
梅花入夜影蕭疏,頓令月瘦,柳絮當空晴恍忽,偏惹風狂。
新字:梅花入夜影蕭疏,頓令月痩,柳絮当空晴恍忽,偏惹風狂。
書き下し
梅花夜に入りて影蕭疏、頓に月をして瘦せしむ。柳絮空に當たりて晴れて恍忽、偏へに風の狂ふを惹く。
現代語訳
梅の花は夜になると影がまばらで寂しげになり、たちまち月まで痩せて見えるようにします。柳の綿毛は晴れた空に舞ってぼんやりと漂い、ことさら風を狂おしく誘います。
解説
夜の梅と、晴れた日の柳絮とを対にした一則です。蕭疏は物寂しくまばらなさまを言います。梅のまばらな影が映ると、月までが細く痩せて見えるという、景色どうしが影響し合う見立てがおもしろいところです。柳絮は柳の種についた白い綿毛で、春の終わりに雪のように宙を舞います。恍忽はぼんやりと定まらないさまで、ふわふわと漂う綿毛がかえって風を狂ったように誘い出すと詠んでいます。静かな梅と、せわしない柳絮と、二つの対照的な春の姿です。同じ季節でも、見る時間や角度で景色はまるで違う顔を見せます。その違いに気づく目を養いたいものです。
この章句が説くこと
風雅梅花季節自然感性
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