酔古堂剣掃 / 集韻・裘を披て穗を拾ふ
借草班荊,安穩林泉之窔;披裘拾穗,逍遙草澤之臞。
新字:借草班荊,安穏林泉之窔;披裘拾穂,逍遥草沢之臞。
書き下し
草を借り荊を班きて、林泉の窔に安穩し、裘を披て穗を拾ひて、草澤の臞に逍遙す。
現代語訳
草を敷き、いばらを敷き広げて座り、林や泉の奥まった片隅で安らかに過ごします。皮衣を羽織って落ち穂を拾い、草深い沢に住む痩せた隠者として気ままに過ごします。
解説
貧しくとも自由な隠者の暮らしを描いた対句です。班荊は、荊を地に敷いて座ることで、『左伝』で旧友同士が道で出会い、荊を敷いて語り合った故事に基づく言葉です。窔は部屋や土地の奥まった隅を指します。皮衣をまとって落ち穂を拾うのは、富や地位に目もくれない古の隠者の姿として語られるものです。臞は痩せていることで、ここでは山沢に住む痩せた隠者を言います。暮らしは質素でも心は満ち足りているという、集韻らしい清貧の美学です。持ち物や肩書きが少なくても、心の置き場所がしっかりしていれば安らげる、という見方を思い出させてくれます。
この章句が説くこと
清貧隠逸閑適自然知足
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