酔古堂剣掃 / 集韻・莊嚴の蓮坐を撤去す
侵雲煙而獨冷,移開清笑胡床,借竹木以成幽,撤去莊嚴蓮坐。
新字:侵雲煙而独冷,移開清笑胡床,借竹木以成幽,撤去荘厳蓮坐。
書き下し
雲煙を侵して獨り冷やかなれば、清笑の胡床を移し開き、竹木を借りて以て幽を成せば、莊嚴の蓮坐を撤去す。
現代語訳
雲や霞の中に分け入ってひとり冷ややかに過ごすならば、談笑のための腰掛けは脇へ移してしまい、竹や木の力を借りて奥深い静けさを作るならば、荘厳な蓮の台座も取り払ってしまいます。
解説
山中の庵の簡素な趣を詠んだ対句です。胡床は、北方から伝わった折りたたみの腰掛けで、くつろいで語り合うための道具です。蓮坐は仏像や高僧が座る蓮華の台で、厳かな宗教の飾りを表します。雲煙の中にひとりいる冷ややかさ、竹や木が作る幽かな趣があれば、人と談笑する道具も、荘厳な仏の飾りもいらない、という気分が込められています。自然そのものが最上の飾りだというのです。部屋を整えるとき、物を足すより取り去ることで落ち着きが生まれる場合があります。何を置くかより何を置かないかを考えてみるのも、暮らしを整える一つの道でしょう。
この章句が説くこと
閑適隠逸簡素自然風雅
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