酔古堂剣掃 / 集韻・虛禮を尚ばず
吾齋之中,不尚虛禮,凡入此齋,均為知己。隨分款留,忘形笑語,不言是非,不侈榮利,閑談古今,靜玩山水,清茶好酒,以適幽趣,臭味之交,如斯而已。
新字:吾斎之中,不尚虚礼,凡入此斎,均為知己。随分款留,忘形笑語,不言是非,不侈栄利,閑談古今,静玩山水,清茶好酒,以適幽趣,臭味之交,如斯而已。
書き下し
吾が齋の中、虛禮を尚ばず、凡そ此の齋に入る者は、均しく知己為り。 分に隨ひて款留し、形を忘れて笑語し、是非を言はず、榮利を侈らず、閑かに古今を談じ、靜かに山水を玩び、清茶好酒、以て幽趣に適ふ、臭味の交は、斯の如きのみ。
現代語訳
私の書斎では、うわべだけの礼儀は重んじません。およそこの書斎に入る人は、誰もが等しく親しい友です。身の丈に合った程度にもてなして引き留め、形式を忘れて笑いながら語り合い、人の善し悪しは口にせず、栄誉や利益を誇ることもなく、のんびりと昔や今のことを語り、静かに山水を楽しみ、清らかな茶とよい酒で、奥ゆかしい趣を味わいます。気の合う者どうしの交わりとは、ただこのようなものなのです。
解説
自分の書斎での客との付き合い方の決まりを、簡潔に宣言した一則です。虛禮は、心のこもらない形式だけの礼儀のことです。書斎に入った者は皆知己、すなわち自分をよく理解してくれる友として扱うと言います。隨分款留は、自分の分に応じてできる範囲でもてなし、引き留めることで、無理をしない付き合い方を表しています。是非を言はずと榮利を侈らずは、人の噂や自慢話をしないという、会話の決まりです。臭味の交は、同じ気質や好みを持つ者どうしの交わりのことです。形式よりも心を、噂より古今や山水の話を大切にする場は、今でも理想の集まりと言えるでしょう。自分の家や会の決まりとして掲げたくなる一文です。
この章句が説くこと
交友礼節風雅茶もてなし
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