酔古堂剣掃 / 集韻・字字秋風木葉を吹く
清齋幽閉,時時暮雨打梨花:冷句忽來,字字秋風吹木葉。
新字:清斎幽閉,時時暮雨打梨花:冷句忽来,字字秋風吹木葉。
書き下し
清齋幽かに閉ぢ、時時暮雨梨花を打つ。 冷句忽ち來る、字字秋風木葉を吹く。
現代語訳
清らかな書斎をひっそりと閉ざしていると、ときおり夕暮れの雨が梨の花を打ちます。冷ややかな詩句がふと浮かんでくると、その一字一字は、秋風が木の葉を吹き散らすような響きを持っています。
解説
静かな書斎での詩作の瞬間を、雨と風の比喩で描いた対句です。前の句は、宋の詞に、雨は梨花を打って深く門を閉ざす、と詠まれた名句を思わせる情景で、春の夕暮れの寂しさを表しています。書斎を閉ざして一人でいると、梨の白い花を打つ雨の音が聞こえてくるのです。後の句は、そうした静けさの中で、冷ややかな詩句がふっと浮かんでくる様子を描いています。その言葉の一つ一つが、秋風が木の葉を吹き散らすように、澄んで鋭い響きを持っていると言います。春の雨と秋の風という季節の違う比喩を対にしているのも面白いところです。静けさの中でこそ、よい言葉は生まれてくるのでしょう。
この章句が説くこと
風雅詩作静寂書斎雨
関連する章句
-
『酔古堂剣掃』集景・落葉但だ門扇を敲く花關曲折し、雲來りて灣頭を認めず。 草徑幽深にして、落葉但だ門扇を敲く。
-
『酔古堂剣掃』集韻・空山に雨掛かる謝し將て縹緲として歸る處無く、斷浦に雲沈む。行きて紛紜として繫がれざる時に到れば、空山に雨掛かる。
-
『酔古堂剣掃』集韻・夜來愁心を滴破す雨寒砌を穿ち、夜來愁心を滴破す。雪虛窗に灑ぎ、曉去りて清影を散開す。
-
『酔古堂剣掃』集韻・梅花に分忖して自ら主張せしむ雨梨花を打ちて深く門を閉づ、怎生か消遣せん。梅花に分忖して自ら主張せしむ、甚の牢騷をか著けん。
-
『酔古堂剣掃』集情・梨花の深院には自ら風多し杏子の輕紗に初めて暖を脫し、梨花の深院には自ら風多し。
-
『酔古堂剣掃』集綺・好雨詩を催す微風酒を醒まし、好雨詩を催す。 韻を生じ情を生じ、懷ひ頗る惡しからず。