酔古堂剣掃 / 集景・煙霞は灌莽より生ず
褥繡起於緹紡,煙霞生於灌莽。
新字:褥繍起於緹紡,煙霞生於灌莽。
書き下し
褥繡は緹紡より起り、煙霞は灌莽より生ず。
現代語訳
刺繍を施した豪華な敷物も、赤い絹糸を紡ぐところから始まります。美しい霞やもやも、雑木や草の茂みから生まれるのです。
解説
美しいものの始まりは、ありふれたものの中にあるという一則です。褥繡は、刺繍を施した豪華な敷物のことです。緹は赤黄色の絹、紡は糸を紡ぐことで、どんなに華やかな織物も、一本の糸を紡ぐ地道な作業から始まると言います。後の句の灌莽は、雑木や草がぼうぼうと茂った荒れ地のことです。山水画に描かれるような美しい煙霞も、実はそうした何の変哲もない茂みから立ちのぼるのだというのです。集景の最後に置かれたこの句は、美しい景色も、その源をたどれば平凡なものにたどり着くことを示しています。華やかな成果の陰には、目立たない積み重ねがあることを思い出させてくれます。
この章句が説くこと
自然勤勉風雅根本積み重ね
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